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マイルであるので、強度的な安全性からみて浮体を2分割して製作し、バルデス港で一体にした。したがって、曳航時の波高はABS(アメリカ船級協会)の基準に従い、L/20に相当するHmax=5.8mとする。各ポンツーンは16個の水密区画からなる。全重量の54%がプレキャストコンクリートで、残りは現場打ちコンクリートである。重量低減、耐海水性、耐凍結融解性を考慮して高強度コンクリートが用いられた。028=490?sf/cm2、水セメント比0.44、空気量3〜5%である。各部材の設計荷重は、甲板:4.9tf/m2、外板:10.6tf/m2、隔壁:9.4tf/m2である。縦強度に対し199本のテンドンを配置し、全体で25,000tfのプレストレスが加えられている。
ポンツーンの接合は、船底の接合部には鋼製のベアリングプレート付コンクリートブロック、甲板部にはビルトコネクション付コンクリートプロックを設け、船底のブロックが接触後バラストを排出して位置決めを行い、船底、甲板、隔壁等のコッファダムヘのコンクリート注入およびプレストレス導入が行われた。接合部の有効プレストレスは29,000tfである。
係留システムは、法線に平行方向に展張された6本のφ60.3mmのワイヤロープ(切断荷重302tf)と、φ88.9mmのチェーン(切断荷重408tf)からなるアンカーラインによる。これによって海岸線に平行方向の最大移動量は常時で0.9mとされている。一方、法線直角方向には長さ61m、幅9.8m、高さ3mの2本の鋼製の連絡橋により係留されている。連絡橋は係船岸とポットベアリングで連結され、陸側の橋台とは回転および滑動が可能である。さらに、連絡橋は係船岸から約150m離れた位置に設けたデッドマン・アンカーの間に展張されたワイヤロープ(ブリッジストランド、切断荷重950tf)に113tfのプレロードが与えられている。

 

d)HMS 9)
運輸省第二潜湾建設局においては、平面形状が台形で内部が空洞のコンクリート製ポンツーンを6個組合わせ、PC鋼棒で接合することにより六角形状の浮体構造物、名付けてHMSを建造している。写真-3.1.6は1989年の横浜博覧会に「海のパビリオン」として出展されたものである。6個のコンクリート製ポンツーンは、上底約13m下底20mの台形で、高さ5m、喫水3.8mである。各要素浮体は、マッチキャスティング方式で製作されたのち、隣り合う隔壁をPC鋼棒を用いて接合している。また、対角線方向にCFRPロッドで緊張力を与えている。HMSは、?@プレハブ化による施工性、?Aこれを組合わせることによって平面的に変化に富んだ大型浮体を築造できること、?Bその形状による動揺安定性、?Cプレストレスの導入によるひびわれ防止効果、?D耐久性などに優れるほか、?E中央部に形成される水面を活用できるなどの長所がある。上記博覧会ではこの水面を利用してイルカショーが催され好評を博した。やや小規模であるが、同型のものが猪苗代湖に建造されているほか、十和田湖においても計画がある。

 

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